Curtis | Curtis Mayfield
今日はカーティス・メイフィールド、1970年のソロデビュー作。楽曲の素晴らしさ、カーティスのボーカル、バンドの演奏、全てにおいてパーフェクト。
このソウルミュージックの偉人はロック音楽にも大きな影響を与えてますが、僕の場合、この人に触れるきっかけになったのは、このアルバム4曲目"Move On Up"のザ・ジャムによるカバー。今、聴いても改めてモノ凄い曲であることに気付かされる。
当時の時代背景として、アメリカの公民権運動がピークを過ぎた頃だったようで、それでも上みて進んで行こうぜ、みたいなメッセージだったのだと思うのですが、今の我々が聴いても深く沁み入ってくる普遍的な力がある歌。
確かにジャム時代、若かりし頃の(今もか)ポール・ウェラーにあまりにも似合い過ぎる曲。
Letila Zozulya | Contrast Trio
去年の夏、仕事でドイツに行く機会があり、フランクフルト滞在中にふらりとジャズケラー*1というバーに。
そこでたまたま観た地元のバンド*2のライブでやたらカッコいい演奏をしてたキーボードプレイヤーがユーリ・シック*3という人。
帰ってきてから色々調べてみたところ、そのユーリ・シックさんのリーダーバンドであるこのコントラスト・トリオ*4の存在を知って。
ということで最近リリースされたばかりという、この新しいアルバムも早速聴いてみた。
ピアノトリオが基本スタイルで、そこにシンセサイザーなんかを駆使した今の時代のジャズを演るバンド。リズム隊二人もスリリングでグルーヴィンな演奏で雰囲気出してる。
このアルバムではサイケデリック、エレクトロニカ要素、前衛的な現代音楽、民族音楽のようなもの、そしてボーカル入った曲なんかが絶妙に混ざりあってて本当にカッコいい。
ここ日本だと情報少ない感じですが、もっと彼らのことを良く知りたい。そしてこうやって、まだまだ知らない世界中の良い音楽をたくさん聴きたい!
と改めて思わせてくれたこの一枚。
*1:とても雰囲気の良いジャズバー。このブログのヘッダ画像もそこで撮った写真。
*2:この時観たのはThe J-Sound Projectというバンド。
https://www.thejsoundproject.com/
*3:ユーリ・シック?読み方あってる?
*4:
All Things Must Pass | George Harrison
ハッピー・バースデイ、ジョージ!!
昨日はジョージ・ハリスンの誕生日。ということでビートルズ解散後のソロ時代の名盤として名高いこの一枚について。
ジョージって「ビートルズを解散して最も得をした元ビートル」と言われているらしいのだけど、言いたいことはすごくよくわかる。
この人、本当に凄い作曲家で音楽家なのですが、ジョン・レノンとポール・マッカートニーという反則な才能を持つ二人と一緒のバンドにいた為に、どうしても三番手に甘んじてしまったと評価されがち。そして、逆にあの二人と切磋琢磨する環境にいたからここまでの音楽家になれたとの見方もできる。
どっちにしても僕はビートルズ時代も含め彼の曲が本当に好きなので、このソロアルバムは大好物!!
ビートルズ時代から書き溜めてた曲も多く収録されていて、その才能が一挙に大放出されてるアルバム。CD2枚組で28曲も!色んな意味でどんだけ溜め込んでたんだろうっていう。
確かにそのまま後期ビートルズのアルバムにあってもおかしくなさそうな曲もあるけど、ソロだからこそのジョージ独自の世界観を感じられる曲もありそんな曲が特に素晴らしく、名曲の誉れ高いDisc1の2曲目"My Sweet Lord"だけで、このアルバムを語るのはもったいない。
カントリー調のDisc1の7曲目"Behind That Locked Door"、70年代のパワーポップ然としたDisc2の4曲目"Awaiting on You All"とかその辺りの曲も味わい深い。
そしてジョージといえば寡黙なフリして、ユーモアセンスに溢れる人だというのはビートルズ・ファンの間では有名な話。アルバム終盤、CDではDisc2の10曲目から14曲目が、LP盤では3枚目にあたり「Apple Jam」と呼ばれる作品群で聴けるエクスペリメンタル・パーティー・ロックンロール!といった感じの演奏から、そういうとこが感じられてなんか嬉しい。
The Best Day | Thurston Moore
今日はサーストン・ムーア、2014年のソロ・アルバム。これも最高の作品!
最近、元ソニック・ユースの両ギタリスト、リー・ラナルドとサーストン・ムーアのソロ作品聴き比べみたいな状況になっていて。
やはりサーストンという人はギターの響きが独特。この人のギタープレイは変則チューニングが有名ですが、そういったチューニングや演奏に至るまでのイメージが既に違うのでは?
彼の頭の中では、ギターという楽器の6本の弦が明らかに普通の人とは違った鳴り響き方をしてるのだろうと思ったりする。
(実はどちらかというとリーの方がまだオーソドックスなプレイをしてる気がして、そしてそんなリーの作品も最高!)
そんな中、時折ロックンローリンなギタープレイをしてくれるジェイムス・エドワーズさんのギターがこのアルバムでも効いていて、アルバムタイトル曲の4曲目"The Best Day"やラストを飾る8曲目"Germs Burn"なんかはソニック・ユース時代も含めた彼のキャリア屈指の名曲なのでは。
結果的に70年代の彼のアイドルであったテレヴィジョンやリチャード・ヘルのようなニューヨーク・パンク感がちょうど良い具合に加わってるというこのアルバム、カッコよく無い訳がない!
Horses | Patti Smith
1970年代、ニューヨーク・パンク発祥の地とも言えるライブハウス「CBGB」を拠点に活動してたことなんかもあって「パンクの女王」と呼ばれたパティ・スミス。
この1stアルバムもヴェルヴェトアンダーグラウンドのジョン・ケイルがプロデュースしてテレヴィジョンのトム・ヴァーレインが参加していたりしてて、そしてこのクールなジャケットと名盤の雰囲気充分な作品です。
ヴァン・モリソンのバンド、ゼムのカバー、1曲目"Gloria"は彼女のおかげでパンク・ロック・クラシックとしても有名。
ニューヨーク・パンク直系のバンドへの影響にキム・ゴードンやPJハーヴェイなんかのクールな女性パンクロッカーに与えた影響ももちろん凄いのですが、ボブ・ディランの代わりにノーベル文学賞を受け取ったエピソードが象徴するように、時代や分野を超えた優れたシンガーソングライターでありアーティストですね。
The Madcap Laughs | Syd Barrett
天才、シド・バレットの1stソロアルバム。1968年のピンク・フロイド脱退後から作り始めて1970年にアルバムとしてリリース。
この手の作品は日本盤タイトルの付け方が印象的。因みにこの作品の邦題は『帽子が笑う…不気味に』。
1曲目"Terrapin"でソロアーティストとしての方向性を示して、2曲目"No Good Trying"、3曲目"Love You"と名曲を連発。シド・バレットのソロ作品は本当に素晴らしい。
ピンク・フロイドの名作1st『The Piper At the Gates of Dawn』(因みに邦題は『夜明けの口笛吹き』)の作風を引き継ぎつつ、アコースティックな音色も使いながらよりストレンジな雰囲気のサイケデリック・フォークといった趣の曲作りを続けていく。
ポップでヒネくれてるこの一連の歩みは、後の90年代に現れるオルタナティブやローファイと呼ばれるロックに確かに通じてる。
Blue | Joni Mitchell
どこが良いかというと、とにかく雰囲気が良い。時代を超えて行く不朽の名盤。
この1971年のジョニ・ミッチェルの4thアルバムもそんな作品。
時代背景や彼女の人生においての色んなタイミング、そして勿論、彼女自身の類稀な才能、全てが結実した一枚。
1曲目"All I Want"の詞の迫力、「I am traveling, traveling, traveling, traveling」って部分のリズム感で初っ端からガツンとやられ、2曲目"My Old Man"の変則的な曲構成やコード進行。
そういった感じでアルバム全体が美しくも儚く流れて行く。
という風に、とにかく雰囲気が良い。
美味いワインとか飲んで酔っ払って聴くのがオススメのアルバム。